●ハル・ハートリー(1959年〜) S・リーやジャームッシュに続くNYインディペンデント派出身。90年代の『トラスト・ミー』『シンプルメン』で、それ以前の商業映画のモードを決定的に塗り替えた。原子力や銃、消費文明に疑問を抱く繊細な主人公と乾いた人間関係、重厚な物語を軽やかに進行する卓抜した話法、澄みきった映像感覚、ソニック・ユースやヨ・ラ・テンゴの音源を着用した時代感、そのすべてが今なお創造豊かに語りかけてくる。音楽担当のクレジットは監督の別名。瑞々しい新旧4作品を一挙公開。 ●アンビリーバブル・トゥルース The Unbelievable Truth 郊外の鄙びた町に帰郷したジョシュ(ロバート・バーク)。過去の殺人事件で噂される彼は、大学進学を控えた多感なオードリー(エイドリアン・シェリー)と出会い惹かれ合うが……。レトロなダイナーやガレージなど、失われつつあったNY郊外のノスタルジアと共に複雑な過去の事件をさらりとひもとく傑作。劇場初公開。106分。 ●シンプルメン Simple Men 淀川長治氏をして、「勝手にしやがれ」と同じく驚かされたけど、これは好き。と言わしめた出世作。強盗・詐欺常習犯の兄(R・バーク)と大学生の弟(ウィリアム・セイジ)は、23年前のペンタゴン爆破事件で逮捕された父の脱獄を知る。父を捜してロングアイランドへたどり着いた兄弟は、二人の女性と出会う。ボブヘアが美しい共演者、エリナ・レーヴィンソンの存在感がはじける。106分。 ●愛・アマチュア Amateur 恋もセックスも未体験のまま修道院を出て、ポルノ小説を執筆する元尼僧イザベル(イザベル・ユペール)は、仕事場代わりのカフェで、記憶をなくした男(マーティン・ドノヴァン)と出会い、その過去を二人で探す……。ゴダール作品にも出演するフランスの名女優を迎え、主な舞台も郊外からNY市内へと移した第二期作。アングラAV界に蠢く闇のサスペンスもスタイリッシュに! 106分。 ●はなしかわって Meanwhile 新世紀ハートリーの代表作の本作は、題名そのまま手際の良い展開と、NYロケを堪能できる鮮やかな傑作。マンハッタンで人助けに勤しむジョセフ(D.J.メンデル)は、ブルックリン橋から投身自殺する女性と出会う……。59分。 |
2013
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