○マルコ・ベロッキオ 1939年イタリア北部の町ボッビオ生まれ。ローマ国立映画実験センター、ロンドン・フィルム・スクールで映画を学んだ後、『ポケットの中の握り拳』を26歳で初監督し、世界を驚かせる。近年も『夜よ、こんにちは』でヴェネチア国際映画祭の芸術貢献賞を受賞など国際的評価は高い。さらに2011年にはその業績により、ヴェネチア国際映画祭から栄誉金獅子賞を受賞。現在も新作制作中。 ●ポケットの中の握り拳 I Pugni in Tasca 北イタリアのブルジョア家庭を舞台に、崩壊家族の複雑な兄弟の関係の中で、社会への怒りのやり場を求める若者を描く、鮮烈といえば、あまりにも衝撃的なデビュー作。1965年ロカルノ映画祭銀賞、イタリア銀リボン賞最優秀原案賞受賞。108分。 ●エンリコ四世 Enrico IV 仮装パーティーで王様の扮装をしたまま落馬してから、自分を王様だと思い込むようになった男が巻き起こす悲喜劇を描くブラック・コメディ。マルチェロ・マストロヤンニ、クラウディア・カルディナーレの共演、音楽担当はアストル・ピアソラと、非常に豪華な布陣。日本初公開。95分。 ●肉体の悪魔 Diavolo in Corpo レイモン・ラディゲの有名原作をベロッキオが、大胆に翻案。高校生のアンドレアと金持ちで婚約者のいるジュリアの情念的な愛の顛末を描く官能ロマン。『カルメンという女』『ラ・ピラート』のマルーシュカ・デートメルスの全身全霊の演技に強く引き込まれる115分。 ●愛の勝利を ムッソリーニを愛した女 Vincere ヒットラーとならびファシズムの代名詞ともいえるベニート・ムッソリーニ。社会主義青年としての理想に燃えた若き日の彼に恋し、運命に翻弄されながらも、その生涯を捧げたイーダの人生を通して、20世紀のイタリア社会を描く野心作。128分。 ●眠れる美女 Bella Addormentata 実際にイタリア社会に衝撃を与えた尊厳死事件をもとにした社会派ドラマ。愛妻の延命装置を停止した過去に苛まれ尊厳死に関する法案を前に揺れる議員、昏睡状態の女に心惹かれる医師の苦悩、目覚めない娘の看病に心を砕く母と満たされない母の愛に悩む息子の関係。三つの物語が深く交錯する。特にイザベル・ユペールの名演が光る115分。 |
2014
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