ロマンポルノ・リブート・プロジェクト〈全5作品・入替〉
○1971年に製作が開始され、88年に幕を閉じた「日活ロマンポルノ」。一定のルールと製作条件を守れば、比較的自由に映画を作ることができたため、様々な傑作が生まれ、多くの監督、スタッフ、俳優がここから育っていった。2016年、その誕生から45年を迎えたことを記念し、現在の日本映画界をリードする5人の監督(行定勲、塩田明彦、白石和彌、園 子温、中田秀夫)が、オリジナル作品でロマンポルノを「リブート(再起動)」するプロジェクトに挑んだ。そのコンセプトは「男性も女性も等しく楽しむことができるエンターテインメントとして、新しいロマンを生み出す」こと。新たな伝説の誕生に、ぜひ立ち会ってほしい。
●ジムノペディに乱れる 『GO』『世界の中心で、愛をさけぶ』の行定勲監督作品。かつては海外映画祭で評判となるほどの作品を作ってきた映画監督・古谷(板尾創路)。しかし今は仕事が無く、映画学校で教鞭をとり、食い扶持を稼ぐ日々。久々に新作の撮影に入ったものの、主演女優(岡村いずみ)がラブシーンを拒否して中止になってしまう。時間を持て余した古谷は、長年の仕事仲間や学生(芦那すみれ)、果ては役を降りた女優らと次々と関係を持つが、虚しさは埋められない。彼の心の底にあるものは……。エリック・サティの名曲が鍵を握るアダルト・ラブストーリーの秀作。ロマンポルノを代表した女優の一人、風祭ゆきの特別出演も見逃せない。83分。
●風に濡れた女 『害虫』『カナリア』の塩田明彦監督作品。世捨て人のような暮らしをしている元劇作家・高介(永岡佑)。ある日、港にいた彼は、自転車に乗って海に突っ込んでいく女・汐里(間宮夕貴)と出会う。野性味あふれる魅力を放つ汐里は、高介に野良犬のようにまとわりつくが、世捨て人を気取る彼は相手にしない。しかし、行きつけのカフェでなぜかウェイトレスとして働く汐里と再会した頃から、高介は彼女のことが気になって仕方なくなる。そこにかつての演劇仲間が旅公演の途中で立ち寄って、高介の心にますます波風を立てていく……。ヒートアップしていく男女の駆け引きを、映画的な細部の積み重ねの中に描いた、ラブとバトル凝縮の78分。
●牝猫たち 『凶悪』『日本で一番悪い奴ら』の白石和彌監督作品。池袋の風俗店で働く3人の女、雅子(井端珠里)、結依(真上さつき)、里恵(美知枝)は不思議と気が合うが、お互いのことはほとんど何も知らない。雅子は引きこもりの常連客・高田(郭智博)が気になってアプローチしているが、高田は恋愛感情が入るのを避けている。ベビーシッターに子どもを預け仕事をしているシングルマザーの結依は、漫才師の客に入れ込み、子どもの引き取りが遅れている。里枝は一人暮らしの老人に愛され度々指名を受けているが、思いがけない頼みを聞かされて……。社会派・白石監督ならではの、今を生きる人間を見つめた重層的な群像ドラマ。『天使の恍惚』(若松孝二監督)『牝猫たちの夜』(田中登監督)などに出演した伝説的な俳優・吉澤健が重要な役で出演。またロマンポルノの女王と呼ばれた白川和子の特別出演にも注目だ。84分。
●アンチポルノ 『愛のむきだし』『冷たい熱帯魚』の園 子温監督作品。売れっ子の小説家でアーティストでもある京子(冨手麻妙)は、今日も極彩色の部屋でマネージャー典子(筒井真理子)が伝えるスケジュールを分刻みでこなしていた。しかし、これは本当に現実なのか? 突如かかる「カット!」の声。それを境に無理難題を献身的に聞いてきた典子の態度は豹変、京子をサディスティックに罵倒する……。これは映画の撮影? それとも終らない悪夢? あるいはすべて京子の妄想?映画は、考える暇を与えぬスピード感で、現実と虚構の壁を大胆に乗り越えて疾走する。パワーと詩情みなぎる、園監督ならではの夢幻劇。78分。
●ホワイトリリー 『リング』『仄暗い水の底から』の中田秀夫監督作品。陶芸家志望のはるか(飛鳥凛)は、閑静な住宅街で教室を開く登紀子(山口香緒里)に師事していた。奔放な登紀子は様々な男を自宅に呼び関係を結んでいたが、充たされることがない。そんな登紀子を慰めるのも、はるかの役目だった。そんなある日、登紀子が著名な陶芸家の息子を家に呼び、半ば強引に住み込ませたことから、2人の関係は微妙に変わり始める……。ロマンポルノの巨匠・小沼勝の助監督を務めた経験を持つ中田監督は、女たちの内面の美しさと怖さを、耽美的な映像で存分に描きつくす。ゾクリとさせる80分。
「生誕45周年 ロマンポルノ、狂熱の時代」の解説はこちら
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1/28(土)
〜2/3(金)
ジムノペディ… | 12:45 |
風に濡れた女 | 14:20 |
ジムノペディ… | 15:50 |
風に濡れた女 | 17:30 |
ジムノペディ… | 19:00 |
風に濡れた女 | 20:35 |
2/4(土)
〜2/10(金)
牝猫たち | 11:00 |
風に濡れた女 | 12:40 |
牝猫たち | 14:15 |
ジムノペディ… | 16:00 |
牝猫たち | 18:20 |
2/11(土)
〜2/17(金)
アンチポルノ | 11:00 |
牝猫たち | 12:30 |
アンチポルノ | 14:10 |
ジムノペディ… | 15:40 |
風に濡れた女 | 17:15 |
アンチポルノ | 18:50 |
2/18(土)
〜2/24(金)
ホワイトリリー | 11:00 |
アンチポルノ | 12:40 |
ホワイトリリー | 14:15 |
牝猫たち | 15:50 |
ホワイトリリー | 18:20 |
2/25(土)
〜3/3(金)
ホワイトリリー | 13:00 |
アンチポルノ | 14:40 |
3/4(土)以降の上映作品・時間は直接お問い合わせください。
前売券(1作品)
一 般 1400円
大学生 1400円
会 員 1200円
前売券(5作品)
一 般 6000円
大学生 6000円
会 員 5500円
当日券(1作品)
一 般 1700円
大学生 1500円
中高予 1200円
シニア 1100円
会 員 1300円
学生・シニア会員 1000円
※劇場窓口にて5作品前売券をお求めの方に「ロマンポルノ傑作タイトルロゴステッカー」をプレゼント(数量限定)。