「現代アートハウス入門 ネオクラシックをめぐる七夜vol.2」

連続講座「現代アートハウス入門」では、〈アートハウス〉の歴史を彩ってきた「ネオクラシック(新しい古典)」と呼びうる作品を7夜連続日替わりで上映。気鋭の映画作家たちが講師として登壇し、各作品の魅力を解説。さらに、全国の参加者とのQ&Aを交えながら、これからの〈アートハウス〉についての知見を共有します。第2弾となる今回は、全国24の劇場をつないで開催。どうかふるってご参加ください。


12/11(土)『クローズ・アップ』 Nema-ye Nazdik 有名映画監督マフマルバフと名乗った青年が詐欺で逮捕された実話の再現とドキュメンタリーが交錯。映画的真実を追求した不滅の傑作。99分。
レクチャー 講師 深田晃司(映画監督)
深田晃司監督コメント▷
アッバス・キアロスタミとモフセン・マフ マルバフの傑作群は、まだ二十歳前後であった私をイラン映画に心酔させた。『クローズ・アップ』は中でも特に熱狂した一作で、映画の底なしの可能性をこの作品で感じて欲しい。

12/12(日)『マッチ工場の少女』 Tulitikkutehtaan tyttö マッチ工場で働く若い娘イリスの絶望的な状況をブレッソン的厳粛さと絶えざるユーモアで描く。69分。
トーク 講師 岨手由貴子(映画監督) ×大江崇允(映画作家/脚本家)
岨手由貴子監督コメント▷
「クラシック映画」と聞くと身構えてしまう人もいるかもしれませんが、それらは製作されてから何十年も、多くの人を魅了してきました。そんな映画の抗えない魅力を、一緒に反芻していく時間になればと思っています。

12/13(月) 『鳥の歌』 Para recibir el canto de los pájaros 16世紀にアンデスを征服したスペイン遠征隊の蛮行を描こうとする撮影隊が、先住民に詰め寄られる。ゴダールらにも衝撃を与えたボリビア・ウカマウ集団の傑作。102分。
トーク 講師 小田香(映画作家)×太田昌国(シネマテーク・インディアス)
小田香監督コメント▷
アートハウスはあやしげな場所に見えることもあるかもしれませんが、それ以上に妖しい映画がかかっています。
鑑賞後はより健全に、より不健全に、もしくはその両方になるかもしれません。 あの映画のここは好きであそこは苦手など、誰かに言いたくなって、伝わらなくて、その体験まるごと、心のどこかに残り発酵していく映画がかかっています。

12/14(火)『セールスマン』 Salesman ボストンからフロリダへ。聖書の訪問販売員たちの旅にカメラは密着。物質主義的社会の夢と幻滅、高揚と倦怠が奇妙に交差する、アメリカの肖像画。ダイレクト・シネマのパイオニア、メイズルス兄弟の代表作。初公開。91分。
レクチャー 講師 想田和弘(映画作家)
想田和弘監督コメント▷
真っ白で空虚なスクリーンなのに、いや、真っ白で空虚なスクリーンだからこそ、いったい何が映し出されるのか、無限の可能性が存在しているんですね。なんだか不思議じゃないですか?!

12/15(水)『ビリディアナ』 Viridiana 修道女を目指すビリディアナと、亡き妻に似た彼女を引き止めようと画策する叔父。カンヌではパルム・ドールを、カトリック教会からは非難を浴びたこれぞブニュエルの傑作。92分。
トーク 講師 広瀬奈々子(映画監督) ×稲川方人(詩人/編集者)
広瀬奈々子監督コメント▷
ああ、そうか、自分はこの世界に対して、「ちょっと待った 」を言いたかったのだと気づかされる映画がある。新しいものの見方を発見し、立ち止まって何度も考え、答えのない旅に出る。いい映画には共感や同調よりも、もっと豊かで驚きに満ちたものが、色褪せることなくたくさん詰まっている。

12/16(木)『ある夏の記録』 Chronique d’un été パリ、1960年の美しい夏。街ゆく人々に軽量16mmカメラと録音機が問いかける。あなたは幸せですか? 映画作家で人類学者のルーシュと、社会学者で哲学者のモランによるシネマ・ヴェリテの金字塔。90分。
トーク 講師 小森はるか(映像作家) ×月永理絵(エディター/ライター)
小森はるか監督コメント▷
学生の頃に偶然観ていた映画が、数年経ってから、自分にとっての大切な一本だったと気付くことが増えました。
途切れ途切れに蘇ってくる場面は、あの時わからなかった経験も、大事なものだと教えてくれました。

12/17(金)『イタリア旅行』 Viaggio in Italia 結婚8年目、一見仲の良いカテリーナ(イングリッド・バーグマン)とアレックス、実は破局寸前のカップルを描くネオ・レアリズモの大傑作。85分。
トーク 講師 三宅唱(映画監督)×大川景子(映画編集)
三宅唱監督コメント▷
「人生は短すぎる」「だからこそ楽しまないと」いつどこでなぜその言葉が発せられるのか。私はその場面においてなにを見ていただろう?




2021
12/11(土)
 〜 12/17(金)

12/11
(土)
19:00 クローズ・アップ
12/12
(日)
19:00 マッチ工場の少女
12/13
(月)
19:00 鳥の歌
12/14
(火)
19:00 セールスマン
12/15
(水)
19:00 ビリディアナ
12/16
(木)
19:00 ある夏の記録
12/17
(金)
19:00 イタリア旅行

 

当日券のみ
31歳以上 1800円
30歳以下 1200円