現在地はいづくなりや 映画監督東陽一

●現在地はいづくなりや 映画監督東陽一 すでに半世紀以上のキャリアを重ねてきた東陽一監督。長編第1作は1969年のドキュメンタリー作品『沖縄列島』、71年には緑魔子主演の初長編劇映画『やさしいにっぽん人』で日本映画監督協会新人賞、78年の『サード』(脚本:寺山修司)でキネマ旬報ベストワン、芸術選奨文部大臣新人賞などを受賞し、桃井かおり主演『もう頬づえはつかない』、烏丸せつこ主演『四季・奈津子』『マノン』、田中裕子主演『ザ・レイプ』では女性の自立を描き、『橋のない川』では観客動員200万人を超えるヒット、近年も浅野忠信・永作博美主演『酔いがさめたら、うちに帰ろう。』や常盤貴子・池松壮亮主演『だれかの木琴』で旺盛な創作意欲を見せる。そんな東陽一監督の映画人生をふりかえるドキュメンタリー。タイトルは『やさしいにっぽん人』に出てくる言葉から。
 東監督自身へのインタビューで語られる雄弁な言葉はもちろん、常磐貴子、烏丸せつ子、緑魔子がリラックスした対談で話す、撮影当時の思い出、監督像は魅力的で、フィルモグラフィーを辿りたい気分を駆り立てる。元天井桟敷の映像作家安藤紘平のロングインタビューからは、東陽一監督作品について語りながら、この半世紀の日本映画の流れを射程に収めているようにさえ思われる。随所に引用される映画の一部も極めて刺激的な94分。
●やさしいにっぽん人 バイクショップの仲間からはシャカと呼ばれる謝花治(河原崎長一郎)は、両親を沖縄戦の集団自決で失った。故郷を離れた彼が重い口を開くのは恋人(緑魔子)と話すときくらいだ。唯一解放されるツーリングでもトラブルばかりの鬱積感は、時代の気分を反映していたものか。112分。
●沖縄列島 岩波映画製作所で黒木和雄監督の助監督を務めた経験を活かしながら、過酷な現実に翻弄される様々な生活の断片がモザイクのように構成され、本土復帰前の沖縄の戦後23年目の「今」が活写される。次作『やさしいにっぽん人』へと確実に繋がる91分。
●マノン アベ・プレヴォーの「マノン・レスコー」の翻案。バニー・ガールのバイトをしながら劇団研究生として女優をめざす主人公に魅了される男たちを、津川雅彦、佐藤浩市、ビートたけし他で描く。『四季・奈津子』に続き、自由奔放な主人公を烏丸せつこが体現する。108分。
●日本妖怪伝 サトリ ヒトの心の中を読む妖怪サトリが民話の中から、水族館で働くあや(緑魔子)の前に現れた。高度経済成長期の日本で、その存在を信じるもの、一笑に付すもの。サトリから彼らはどのように見えるのか……。山谷初男、佐藤慶、河原崎次郎、吉行和子、渡辺文雄の芸達者が揃い、田村正毅の撮影センスが光る100分。







2020
3/7(土)
 〜3/13(金)

現在地は… 11:40

3/14(土)
 〜3/20(金)

3/14(土)
&18(水)
やさしい… 10:00
3/15(日)
&19(木)
沖縄列島 10:00
3/16(月)
&20(金)
マノン 10:00
3/17(火) サトリ 10:00

 

当日券のみ(1作品)
一 般 1500円
大学生 1300円
中高予 900円
シニア 1100円
会 員 1300円
学生・シニア会員 1000円