プーチンより愛を込めて

ロシア連邦初代大統領ボリス・エリツィンの後を継ぎ、2000年に第2代大統領に就任したウラジーミル・プーチン。当時の憲法上の制限から2期で退いたものの、2012年の大統領選で復帰。実質的に、プーチン政権は20年以上にわたり続いている。プーチンはいかにして権力を握り、現在の統治国家を築き上げたのか

ヴィタリー・マンスキー監督は、引退を宣言したエリツィンの指名を受け1999年12月31日、プーチンが大統領代行に就任してからの1年間を追った貴重な映像を編集して、1本のドキュメンタリー『プーチンより愛を込めて』を完成させた。本作に使用されている映像は、すべて、ウクライナ出身のマンスキー監督が国立テレビチャンネルのドキュメンタリー映画部の部長だった時に監督自身が撮った素材で、ほとんどが未公開だったもの。2014年3月にロシアによるクリミア併合のプロセスが始まった時に、監督はロシアを捨て、ラトビアに移住し、本作の素材の権利処理や編集を始めた。現在ロシアでは監督に逮捕令状が出されていて、ロシアに一歩足を踏み入れたら逮捕されるという状況の中、日本での公開が決まった。

大統領選挙活動では控えめな印象のプーチンだが、徐々にベールの奥に隠されていた本性が見えてくる。その過程はまさに心理スリラーの様相。自身の後継者としてプーチンを20人の候補者から選んだエリツィンだが、やがて自分が利用されていることに気が付き、丸1年後の自宅でのインタビューでは、プーチンについて「赤」と断言するまでに……。

大統領就任後、第二次チェチェン紛争、五輪のドーピング、ウクライナ侵攻が始まったほか、プーチンに逆らった人々の亡命、投獄、死もあった。今だからこそ新たに気づくことがある、若き日のプーチンを映した、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭 最優秀ドキュメンタリー賞受賞作。

(公式サイトより)




2023
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