原一男監督特集

〇原一男 70年代に小林佐智子と共に革新的ドキュメンタリー『さようならCP』『極私的エロス・恋歌1974』を制作。87年『ゆきゆきて、神軍』で世界的評価を得る。以後『全身小説家』から『水俣曼荼羅』、そして次回作へと行動の日々が続く。
①さようならCP 脳性麻痺者(CP)の自立団体「青い芝」を取材した原一男監督第一作。彼らの目線を健常者に突きつけた今なお語られる傑作。82分。
②極私的エロス・恋歌1974 かつて共に暮らし家族制度からの解放を求め沖縄へ立った女性を追い、出産に立ち合う。ドキュメンタリーの極北を踏み越えるカメラの金字塔。98分。
③ゆきゆきて、神軍 高度成長期に昭和天皇の戦争責任を追及したアナーキスト奥崎謙三。使命が言葉が疾走が列島を震撼した不滅の怪作。122分。
④全身小説家 井上光晴という作家がいた。 忘れられた辺境の地の、名もなき弱者の視点に立ちながら、 戦後社会の矛盾を問い、 権力を告発しつづけた人である。その“心優しき叛逆者” 井上の 晩年の約5年間。 じわじわと進行する癌という病魔と戦いながら、なおも自らの想像力を鼓舞し、後輩たちを叱咤する井上の、壮絶な最期の闘争の記録である。 盟友埴谷雄高、 瀬戸内寂聴、 教え子である多くの伝習生たちが 井上について語る。 そこから浮かびあがるのは井上の嘘に彩られ 人生。 映画はいつしか “記録” という枠組みから飛翔し、 “虚構と真実” というテーマに肉迫する。 それは井上光晴の生きるた めの葛藤と、 原一男の映画監督としての葛藤がクロスする、 スリリングな、もう一つの闘争の現場となった。157分。
⑤またの日の知華 ヒロイン知華役に4人の女優を起用し、年代ごとに演じ分けさせるという画期的な試みで、新たな映画の冒険に乗り出した、原一男、初の劇映画。平均台から転落したことで体操選手への夢を諦めた知華(吉本多香美)は、従兄弟の良雄と結婚し、中学の体育教師として再出発する。時は1960年代後半、安保闘争、学生運動の波が拡がりつつある頃だった……。子供が生まれ幸福な日々もつかの間、良雄は結核で入院し、知華(渡辺真起子)は同僚の和也(田辺誠一)に言い寄られ……。数年後、知華(金久美子)は教え子の幸次(小谷嘉一)と偶然再会し、旅に出る。だが2人で南の島へ行こうと決めた日、幸次を迎えに彼の姉がやって来た……。今はバーで働く知華(桃井かおり)。客の瀬川(夏八木勲)と親しくなり、誘われるまま、彼の故郷・日本海の飛島に辿りつく。そこで彼女を待っていたものは……。出演は他に吉岡秀隆。渾身の114分。
⑥ニッポン国VS泉南石綿村 明治の終りから石綿(アスベスト)産業で栄えた大阪・泉南地域の、工場の元労働者とその家族、近隣住民たちによる、国を相手取った賠償請求訴訟。2006年から8年にわたった裁判を通じ、日本の戦後と現在を凝視する。石綿は長い潜伏期間の末、肺がんや中皮腫を発症する。訴訟は国の責任を認める判決が続くが、原告団と支援者を逆なでするように、国側は高裁、最高裁へと逃げ続ける。原告たちの身体は次第に弱り、命を落とす者も多い。業を煮やした原告の一部の過激な行動は原告・弁護団の中に亀裂と葛藤を生むばかりだ。巨大な敵「ニッポン国」との闘いに、どのような決着が待っているのか? 息つく暇もない怒涛の215分。途中休憩あり。
⑦れいわ一揆 昨夏の参院選で山本太郎代表率いるれいわ新選組から出馬した安冨歩。東大教授で女性装の実践者である安冨は選挙を通し、子どもを守ろうと訴える。新風を巻き起こした10名の個性豊かで奇天烈な候補者たちに迫り、揺れ続ける「れいわ」を描く面白くないはずがない248分。途中休憩あり。
⑧水俣曼荼羅 昭和20年代末、熊本県の豊かな漁場で化学工場のメチル水銀排出による、重大疾患の集団発生が報告された、例のない大規模公害、水俣病。映画監督土本典昭が記録し、作家石牟礼道子が書き、写真家ユージン・スミスの評伝映画『MINAMATA─ミナマタ─』が2021年に公開されている。原監督が「水俣を忘れてはいけない」意思20年に渡る注視を経て病理の現場を追い、今も続く患者さんの闘いと心揺れる感情を描き出し、行政のいびつさと環境問題で今の日本の社会に対峙した傑作巨編。第1部「病像論を糾す」第2部 「時の堆積 」 第3部 「悶え神」。三部形式、372分(途中休憩2回)。

CINEMA塾は、「自分が魂の底から創りたいと願う映画を創る」ために、連日原一男監督を囲んで語り合う時間です。





2023
7/22(土)
 〜 7/28(金)

7/22
(土)
11:00
  17:50 原監督
スピーチ
  19:40 CINEMA塾
7/23
(日)
11:00
  13:15
  14:50
  16:40
  19:00 CINEMA塾
7/24
(月)
11:00
  14:00
  19:00 CINEMA塾
7/25
(火)
11:00
  13:10
  17:15
  19:00 CINEMA塾
7/26
(水)
11:00
  15:05
  17:15
  19:00 CINEMA塾
7/27
(木)
11:00
  17:45
  20:00 CINEMA塾
7/28
(金)
11:00
  15:40
  19:00 CINEMA塾

 

当日券のみ
①〜⑦
(1作品)
一 般 1300円
大学生 1000円
シニア 1000円
会 員 1000円
障がい者 1000円
18歳以下 500円
⑧『水俣曼荼羅』
一 般 3900円

スピーチ 投げ銭制
CINEMA塾 投げ銭制