ペドロ・コスタ(ポルトガル1959年〜)リスボン大学と国立映画学校に学び、ラウル・ルイス、ヴィム・ヴェンダースらの作品に参加。1989年以降、長編『血』『骨』『溶岩の家』を発表し、2000年にリスボン郊外のスラム、フォンタイーニャス地区を2年に渡り撮影した傑作『ヴァンダの部屋』が、ロカルノ、山形、カンヌなど映画祭で高く評価され、昨年は米国各地で回顧展も催された。最新作『コロッサル・ユース』は同地区を、フランドル絵画のような光線が射る完璧な構図、廃墟化する都市を微かな音響でとらえ、個の記憶と精神を探求していく。その表現は紛れもなく、21世紀の映像芸術の最前線にいる作家のものである。旧作に加え、当館一押し、日本の“COSTA”=富田克也『国道20号線』も公開。 ●ヴァンダの部屋 No Quarto da Vanda アフリカ系移民が多く居住するリスボンのスラムでヘロインに溺れる実在の白人女性ヴァンダ。都市の再開発で破壊される地区にカメラを据え、ヴァンダを通してこの世界の全環境を照射する静かな巨編。178分。 ●コロッサル・ユース Colossal Youth/Juventude em marcha 再開発が進み、スラム居住者が集合住宅へ強制移住される中、移民労働者ヴェントーラのもとから突然、妻クロチルドが家出した。荒廃した街と近代的な住宅を行き来し、彼が、自身の「子どもたち」と信じる、ヴァンダや若い住人たちを訪ね対話する……。155分。 短編集○3作品 政治犯の強制収容所の記憶の離散をめぐるタラファル(Tarafal)、敬愛するストローブ=ユイレを撮った六つのバガテル(6 Bagatelas)、うさぎ狩り(The Rabbit Hunters)の計57分 。 |
2008
|