アンドレイ・ズビャギンツェフ傑作選
『エレナの惑い』『ヴェラの祈り』〈2作品★入替〉

○アンドレイ・ズビャギンツェフ(1964年〜)。ロシア、ノヴォシビルスク生まれ。90年、モスクワの演劇大学を卒業後、生活のため広告業界に入り、テレビCMを手がけるようになる。そのCMが評判となり、2003年初監督作品『父、帰る』を発表。本作でヴェネツィア国際映画祭金獅子賞を受賞し、一躍世界的な注目を集める。以後の長編は、すべてカンヌ映画祭で受賞。勢いに乗る、今最も見逃せない監督である。
●エレナの惑い Елена ズビャギンツェフの長編第三作。資産家の初老の実業家ウラジミルと再婚した、元看護師のエレナ。経済的には不自由なく暮らしているが、前夫との間に生まれた息子セルゲイだけが悩みの種だ。セルゲイはすでに妻子を持つ身ながら、仕事もせず、ウラジミルからの借金を返そうともしない。エレナは、工場地帯に暮らすセルゲイのもとを頻繁に訪れ、生活費を渡していたが、さらに金銭を求められる。一方のウラジミルにも前妻との間に一人娘カテリナがいたが、彼女もまた定職に就かず、父の元には寄りつきもしない。そんな彼らの危ういバランスが、ウラジミルの心臓発作を契機に、大きく動き始める……。静謐なタッチで淡々と描かれる物語は、ロシアの社会状況の深奥を見つめ、人間の業を鋭くえぐり出す。P・グラスの楽曲の使用も効果的な、密度の濃い109分。
●ヴェラの祈り Изгнание ウイリアム・サロヤンの小説「どこかで笑っている」とアンドリュー・ワイエスの絵画に想を得て、大自然を背景に、人間同士の絆と、孤独の諸相を描いた、長編第二作。
 アレックスは、美しい妻と二人の子供と一緒に、亡き父が残した田舎の家にやってきた。家族団欒を願っての旅でもあったが、辿り着いた家で、妻から「赤ちゃんができたの。あたなの子供ではないけれど」と告白されてしまう。混乱したアレックスは、妻に殺意を抱き、兄のマルクに相談するが「殺したければ殺せ。許したければ許せ。決めるのはお前だ」と言われるばかりだ。やがて彼は、この家族を再び築いていこうと決意し、妻に告げるのだが……。画面から目が離せない157分。


2015
2/21(土)
〜2/27(金)

エレナ… 13:00
ヴェラ… 15:05

2/28(土)
〜3/3(火)

エレナ… 15:00

3/4(水)
〜3/6(金)

ヴェラ… 15:00

 
前売券(2作品券のみ)
※前売券販売は2/20(金)までです。
一 般 2600円
大学生 2600円
会 員 2200円
当日券(1作品券のみ)
一 般 1500円
大学生 1400円
中高予 1200円
シニア 1100円
会 員 1300円
学生・シニア会員 1000円

※同日に2作品ご覧になる一般・大学生の方は2作品目から200円割引きます。