螺旋銀河

●螺旋銀河 またひとつ、新しい才能が日本映画界に現れた。というような、ありきたりな惹句は草野なつか監督には相応しくないかもしれない。チラシや公式サイトに掲載された、渥美喜子、上野昻志、暉峻創三、樋口泰人、藤井仁子、山根貞男という豪華な顔ぶれのかなり長めのコメントが、草野監督長編デビューへのザワザワ感を物語る。1985年生まれの新人監督を支える脚本は『不気味なものの肌に触れる』(濱口竜介監督)の髙橋知由。『ひとつの歌』(杉田協士監督)の石坂友里、草野監督の短編作に出演してきた澁谷麻美の瑞々しい主演ふたりも鮮烈な印象だ。
 OL生活の傍ら、シナリオ学校で勉強を続ける綾(石坂友里)は、自分本位の性格で人間関係をうまく築けず、ラジオドラマの脚本に選出されるも、講師からは大幅なダメ出し。苦し紛れのウソから、知り合ったばかりで気弱そうな幸子(澁谷麻美)を臨時のパートナーに仕立て上げようとする。綾の美貌と強引さにひかれ、協力する幸子だが、いつしか綾の思惑を遥かに越えて事態は進む。当人さえもままならぬ気持ちの揺れを、古風で端正な画面と親密な演出力で描こうとする、希望に満ちた73分。


2015
10/10(土)
〜10/16(金)

20:45

 

当日券
一 般 1500円
大学生 1400円
中高予 1200円
シニア 1100円
会 員 1200円
学生・シニア会員 1000円