「鬼才ポン・ジュノの世界」

○カンヌ国際映画祭で最高賞「パルムドール」に輝き、さらに、世界で最もよく知られる映画賞、オスカーことアカデミー賞で、作品賞(英語圏以外の作品ではアカデミー賞史上初)など主要4部門を独占した『パラサイト 半地下の家族』。一躍注目が集まったポン・ジュノ監督ですが、これまでも多くの作品が日本でも紹介されてきました。韓国社会の問題を切り口に、社会性豊かなエンターテインメントとして普遍化された物語は、見応え充分であるとともに、多くの示唆を与えてくれるものばかりです。今回は、監督作4本を厳選し、共通したテーマとも言える、格差社会を生きのびる『パラサイト 半地下の家族』に至る足跡を辿る企画になります。
●ほえる犬は噛まない 플란다스의 개 中流家庭の人々が暮らす閑静な郊外のマンションで、子犬の連続失踪事件が発生。しかし、このマンションでは、本当は犬を飼うのは禁じられていたはずでは……。愛犬が行方不明になった少女に同情し、迷い犬のビラ貼りをするなど、管理事務所の女子事務員が捜索を開始するが……。ペ・ドゥナのキュートな魅力が炸裂(この作品を観て、山下敦弘監督は『リンダ・リンダ・リンダ』の主役をオファー!)する逸品。ユーモラスなキャラクターたちが繰り広げる、シュールなシニカルコメディはその後の作風を予感させる。ポン・ジュノの緩急自在な語り口が絶妙な記念すべきデビュー作。110分。
●殺人の追憶 살인의 추억 ソウル近郊の農村で女性の変死体が発見される。続いて、第二、第三の殺人事件が発生。捜査は難航を極め、犯人に翻弄され、警察関係者は行き詰まりを隠せない……。80年代後半に韓国で実際に起こり、当時未解決だった連続殺人事件を基に作られた犯罪ミステリー。未解決だっただけに、豊かな想像力が、事件の背景を照らしだし、真相に肉迫する。ポン・ジュノ監督の名前が、その才気とともに刻印された、記憶に残る強烈な作品が、今回の特集上映のためにデジタルリマスターされてよみがえった。現実の事件も、30年もの時を経て2019年9月、真犯人が特定されたという。131分。
●母なる証明 마더 女子高生の惨殺事件の容疑者と目され、拘束された青年。母ひとり子ひとりで懸命に生きてきた母親は、息子の無実を信じ、疑惑を晴らすために奔走する。それは、他人の目からは狂気にもうつる姿ではあったが……。《韓国の母》と称される国民的人気女優キム・ヘジャの熱演が激烈に印象に残る。息子を想う母の“無償の愛”を通じ、“人間の真実”をスリリングに描き出すヒューマンミステリーの傑作! 129分。
●スノーピアサー 설국열차 Snowpiercer 新たな氷河期に突入した地球上を走る列車「スノーピアサー」。人類にとって唯一の生存場所となった車両の中は、壮絶な格差社会だった。先頭車両は上流階級が支配し、後方車両のでは誰もが奴隷扱い。外界と隔絶した場所で、鬱積する不満。そんな中、ひとりの男が、自由を求め反乱を起こす……。クリス・エヴァンス、ソン・ガンホ、コ・アソン、ジョン・ハート、ティルダ・スウィントン、エド・ハリスほか、ハリウッド・キャストも起用し、初めて英語で臨んだ記念すべき1作。125分。



2020
5/7(木)
 〜5/15(金)

  12:15 14:40
5/20
(水)
殺人の… ほえる…
5/21
(木)
ほえる… 殺人の…
5/22
(金)
スノー… 母なる…
5/23
(土)
殺人の… ほえる…
5/24
(日)
母なる… スノー…
5/25
(月)
ほえる… 殺人の…
5/26
(火)
殺人の… 母なる…
5/27
(水)
殺人の… スノー…
5/28
(木)
ほえる… 殺人の…
5/29
(金)
スノー… 母なる…

5/30(土)
 〜6/5(金)

  16:10 18:40
5/30
(土)
殺人の… ほえる…
5/31
(日)
母なる… スノー…
6/1
(月)
ほえる… 殺人の…
6/2
(火)
殺人の… 母なる…
6/3
(水)
殺人の… スノー…
6/4
(木)
ほえる… 殺人の…
6/5
(金)
スノー… 母なる…

 

当日券のみ
(1作品)
一 般 1400円
大学生 1400円
中高予 900円
シニア 1200円
会 員 1200円
学生・シニア会員 1000円