『たぶん悪魔が』
『湖のランスロ』

 真実そのものを追求し、極限美を湛える映像と音響のモンタージュによる比類なき傑作を生涯に渡って手がけたロベール・ブレッソン(1901~1999)。70歳代にして自身の制作システムを貫いた至高の劇場未公開作をデジタル・リマスター版で上映。
●たぶん悪魔が Le Diable Probablement 学生運動にも学問にも宗教にも意欲を喪失したパリの学生シャルル。二人の女性アルベルトとエドは彼を愛し、友人ミシェルにも支えられるが、ジャンキーの介抱と、ばら撒かれたエドのヌード写真を取り戻す救済行為だけがかろうじてシャルルを衝き動かしている……。
 トリュフォーが「4つの知的な美しい顔」と表現した若者たちの貌へと導く誘惑的なカットの連なりに魅せられる。ミシェルの研究テクストであるオゾン層、核兵器や水俣病を記録した環境破壊の映像が21世紀の公開を不意打ちする偶然に、驚愕した。必見である。97分。
●湖のランスロ Lancelot du Lac ケルト伝承のアーサー王と円卓の騎士伝説を12世紀フランスで詩作化した聖杯と悲恋の物語の映像作品。仲間を失い、聖杯捜索にも失敗しアルテュス(アーサー)王の元に帰還した騎士ランスロは王妃グニエーヴルとの、神に背く愛に苦悶するが王妃は愛の正当性を確信している。ランスロを慕う王の甥ゴーヴァン、権力欲に憑かれたモルドレッドらの思い込みは錯綜し騎士精神が滅びる様をブレッソン独自の美学で描く。冒頭の「戦い」から、その表現は冴えわたり、馬のいななきや野鳥の囀りがフレームをスキャンダラスにざわめかせる。84分。



2022
5/14(土)
 〜 5/20(金)

14:00 たぶん悪魔が
15:50 湖のランスロ

5/21(土)
 〜 5/27(金)

13:30 湖のランスロ
15:20 たぶん悪魔が

 

前売券
(2作品)
※前売券販売は5/13(金)までです。
一 般 2200円
当日券
(1作品)
一 般 1700円
大学生 1400円
中高予 1000円
シニア 1200円
会 員 1300円
学生・シニア会員 1000円


※当館窓口で前売り券をお求めの方、特製ポストカードセットをプレゼントします。