「タル・ベーラ 伝説前夜」
『サタンタンゴ』『ヴェルクマイスター・ハーモニー』『倫敦から来た男』『ニーチェの馬』など1990年代以降に天賦の才としか考えられぬ傑作を発表してきたハンガリー出身の映像作家タル・ベーラ(1955~)だが、今回の特集は伝説的な存在となりゆく前、1990年以前の日本初公開3作品を一挙上映。初期の軌跡をたどり、その圧倒的な制作の秘密に肉薄する。
●ダムネーション/天罰 Kárhozat 『サタンタンゴ』の原作者であり、のちに共同作業を行う作家クラスナホルカイ・ラースローが初めて脚本を手がけ、音楽にヴィーグ・ミハーイが携わったことでタル・ベーラの“スタイル”が確立された記念碑的傑作。
寂れた炭坑の町。はるか頭上の索道を巨大な支柱で繋がれた石炭コンベアが走っている。場末の歌手と不倫中のカーレルは、酒場の店主から怪しい仕事を頼まれ、妻の不倫を疑いはじめた歌手の夫にその仕事を持ちかける……容赦のない雨が閉塞を増し、罪へと人々を追い込んでいく。窓越しの風景、広場の遠写しなどが超絶のショットで捉えられていく。121分。
●ファミリー・ネスト Családi tűzfészek 22歳の監督デビュー作。住宅難のブダペストで夫の両親の部屋に居候する若い夫婦。兵役から戻った息子と幼い孫を甘やかし、息子の妻には無遠慮な言葉を浴びせる両親。若い妻の方も、同じ工場で働く同僚女性を家へ連れこんだり。16mmカメラが室内や工場を駆動し、ソ連がけん引した東欧社会のほころびと「怒れる若者たち」を心情豊かに描き出す。ハンガリー批評家賞新人監督賞、マンハイム国際映画祭グランプリ。105分。
●アウトサイダー Szabadgyalog 精神科病院で働くアンドラーシュは芸術家をめざした頃の得意のヴァイオリンを奏で、患者たちに聞かせている。仕事の後の酒場ではいつもの仲間と飲み、語り、踊る。彼は未婚のアンナとの間に新生児をもうけたばかりである……。首都の生活に憧れながら、現実の社会には一向に適合できない地方の繊細な若い男性を描く、きわめて貴重なカラー作品だ。主人公の心象描写とリアルな社会の再現が不思議に溶け合う秀作だ。128分。
Tweet
3/5(土)
〜 3/11(金)
13:10 | ダムネーション |
15:35 | ファミリー… |
3/12(土)・14(月)
・16(水)・18(金)
16:40 | ダムネーション |
19:15 | ファミリー… |
3/13(日)
・15(火)・17(木)
16:40 | ダムネーション |
19:15 | アウトサイダー |
3/19(土)
〜 3/25(金)
10:00 | アウトサイダー |
12:30 | ダムネーション |
前売券
(1作品)
※前売券販売は3/4(金)までです。
一 般 1500円
当日券
(1作品)
一 般 1700円
大学生 1400円
中高予 1000円
シニア 1200円
会 員 1300円
学生・シニア会員 1000円