シーズン・オブ・レイ


○インドを代表する映画監督、サタジット・レイ(1921~92年)。日本では『大地のうた』(1955年)をはじめとする「オプー3部作」でリアリズムタッチの名匠として名高いが、ミュージカル、SF、ファンタジーなどの作品も手がけており、その全貌は幅広く、奥深い。晩年にはアカデミー特別栄誉賞を受賞、英国の「サイト&サウンド」誌では、オールタイムの映画監督ベスト10にも選出されている、20世紀最高の巨匠の一人だ。そんなレイ監督のデビュー60周年を記念し、中期の代表作が2本、デジタルリマスターで復活した。
●チャルラータ(英語題=Charulata) タゴールの原作の映画化で、レイ自身が自らの最高作と認める傑作。1880年のカルカッタ。若く美しい妻チャルラータは、自由な論調の新聞を発行する裕福な夫を持ち、何不自由ない生活を送っていた。しかし超多忙な夫は、ほとんど妻を顧みることがなく、チャルラータは日がな刺繍をしたり本を読んだりして過ごしていた。そんなある日、夫の従弟であるアマルが訪ねて来る。詩を口ずさみ、文学にも詳しいアマルとの交流は、チャルラータにとって、いつしか生きる喜びになっていく。アマルも、チャルラータが並々ならぬ文才を持つことに気づき、ほのかな想いを抱き始める。しかし、新聞社の経理を担当していたチャルラータの兄が、会社の金を持ち逃げしたことを契機に、彼らの関係に大きな変化が訪れる……。レイの映画を熱愛するウェス・アンダーソン監督が、「すべてのレイの映画の中で、ベスト」と讃える、真の代表作。119分。
●ビッグ・シティ(英語題=The Big City) 『チャルラータ』でタイトルロールを演じたマドビ・ムカージーが主演した、同作の姉妹編とも言える一作。1953年のカルカッタ。しがない稼ぎしかない銀行員の妻アラチは、あまりに苦しい家計を見かねて働きに出る。まだ主婦が外で働くことが珍しい時代。同居する義父の猛反対を振り切って、上流階級にミシンを売ってまわる営業の仕事についた。はじめは苦労するものの、やがて営業の才能を発揮したアラチは、次第に自信をつけていく。そんなアラチに対して、面目が保てない夫は、彼女に仕事を辞めるよう迫るが、なんと自身が勤める銀行が閉鎖、求人広告片手に、出社する妻を見送る日々が始まる。意気揚々のアラチだが、思いがけない出来事が彼女を待っていた……(旧題=大都会)。135分。


評論「サタジット・レイ監督デビュー60周年記念
 『チャルラータ』と『ビッグ・シティ』上映に寄せて」
            安藤真也(2015/09)


2015
10/3(土)
〜10/9(金)

チャルラ… 12:30
ビッグ… 14:45

10/10(土)&11(日)
&15(木)&16(金)

チャル… 15:30

10/12(月)
〜14(水)

ビッグ… 15:30

 

前売券(2作品券のみ)
※前売券販売は10/2(金)までです。
一 般 2600円
大学生 2600円
会 員 2200円
当日券(1作品券のみ)
一 般 1500円
大学生 1400円
中高予 1200円
シニア 1100円
会 員 1200円
学生・シニア会員 1000円